メインコンテンツへスキップ

エンドツーエンド暗号化とは

この記事は約 2 分で読めます

エンドツーエンド暗号化 (E2EE) とは、送信者の端末でデータを暗号化し、受信者の端末でのみ復号する通信方式です。鍵が正しく管理・検証されている限り、サービス提供者を含む中間者は通信内容を読み取れないため、メッセージングアプリやクラウドストレージでプライバシー保護の手段として採用されています。適用範囲はメッセージングにとどまらず、 Apple は 2022 年 12 月に iCloud の「高度なデータ保護」を発表し、利用者が任意で有効化すると iCloud バックアップなどの項目にも E2EE が適用されるようになりました。

実務での適用場面

医療機関との患者データ共有では、 E2EE に対応したメッセージングを用いる構成が採られることがあります。サーバー側でデータが復号されないため、クラウド事業者の内部不正やサーバー侵害だけでは本文を読み取れない点が利点です。一方で、端末そのものが侵害された場合や鍵の検証を省略した場合は保護の範囲外となるため、端末管理と鍵の確認を併せて運用する必要があります。

E2EE フロー

送信者: 受信者の公開鍵でメッセージを暗号化
サーバー: 暗号化されたデータを中継 (内容は読めない)
受信者: 自分の秘密鍵でメッセージを復号

歴史的背景

E2EE の概念は 1991 年に Phil Zimmermann が開発した PGP (Pretty Good Privacy) に遡ります。 2014 年 2 月に公開された TextSecure v2 が Double Ratchet 方式を採用し (後に Signal プロトコルと総称される仕組み)、 2016 年 4 月には WhatsApp が最新版アプリを使う利用者同士の通信を既定で E2EE 化したことで、一般消費者にも広く普及しました。 暗号化技術の普及に伴い、 LINE は 2015 年 8 月に Letter Sealing をオプション機能として提供を開始し、 2016 年に主要な利用環境で既定有効化、 2021 年以降はすべての地域で既定で有効 (手動でオフにできない) となっています。

仕組みと実務上の注意点

E2EE は公開鍵暗号方式を基盤としています。各ユーザーが公開鍵と秘密鍵のペアを持ち、送信者は受信者の公開鍵でメッセージを暗号化します。秘密鍵は受信者の端末にのみ存在するため、サーバー側でデータが漏洩しても内容は保護されます。ただし、 E2EE はメタデータ (誰が誰にいつ送信したか) は保護しません。また、端末自体がマルウェアに感染していれば、復号後のデータが窃取される可能性があります。

E2EE の課題

法執行機関は犯罪捜査のために E2EE の「バックドア」を求めることがありますが、 2015 年 7 月に MIT CSAIL などの研究者らが公表した報告書「Keys Under Doormats」は、復号を可能にする仕組みは攻撃者にも悪用され得るとして反対の立場を示しました。企業のコンプライアンス部門にとっても、 E2EE 環境では従業員の通信を監査できないという課題があります。サービスごとに固有の強力なパスワードで E2EE アプリのアカウントを保護し、 安全なパスワード共有と組み合わせてセキュリティを高めましょう。

関連用語

この記事は役に立ちましたか?